明治期に当地で作られた七宝の下絵集です。粂野忠三郎は明治前期に沖之島村(現あま市七宝町沖之島)で活躍した七宝工で、1889(明治22)年のパリ万国博に出品して褒章を受けた記録があります。ここで使われた下絵は大型の皿や花瓶なども多く、色鮮やかで詳細な図が多く残されています。伊藤常三郎家は江戸末から大正にかけて三代にわたって七宝業を営んでいた家で、1889年のパリ万国博での褒章記録や内国勧業博覧会への出品記録があります。残された下絵は大型のものから小型の量産品用のものまで幅広くあり、時代の移り変わりを感じさせるものです。